古い写真(プリント)

古い写真

いつの頃からか、わたしの机の抽斗に
3枚の古い写真が入っていて。

一辺が5〜6センチ、マッチ箱よりひと回り
大きいくらいの、てのひらにすっぽり収まるほどの
ちいさなちいさなモノクロプリント。

どこかの線路脇で撮影したものと、
どこかの海辺で撮影したもの
(さほど遠くはない沖合に一艘の船が係留されていて
甲板には大勢の人の姿。
その船へと渡された桟橋には尚、たくさんの人の姿が。
そして撮影者の足元は岩場で
少し先には岩場で膝まで海に浸かる3人の姿も)、
それと海水浴場で浮き輪をしっかり抱え込み、
緊張した面持ちでこちらを見つめるひとりの子ども。

一体いつからそこ(抽斗)にあるのか
もう記憶は定かじゃないけれど。
祖父母の古いアルバムから剥がしたのか、
古い写真が入った箱から抜き出したのか。
母の実家のアルバム類から出てきたような
うろ覚えで曖昧な記憶の一方、
確かにわたしが自分で選んで
抽斗に入れたことだけははっきりと覚えていて。

そこに写っている風景が一体どこで
複線の線路は国鉄なのか、私鉄なのか、
どこの海なのか、
その子どもは一体誰なのか、
そして誰がどんなカメラで撮影したのか。
なにもわからないままに、ここにあって。

それでも抽斗を開けては時々、眺めてみる写真。

きっと50年以上昔の写真を
こうしてふと眺めて色々考えを巡らせるのは
それがプリントされたものだから。

デジタルの時代になって、
みんなプリントをしなくなったと言われて久しい。
例えば大掃除や引っ越しで片付けをしていて
昔の写真が出てきて『懐かしいー!』
と、思わず手を止めて眺めてしまうのは、
それがプリントだから。
CD-ROMが出てきたところで
『懐かしい!』とはならないもの。

やっぱりプリントって大切だよね。

って…そうだ!
今度のやすみの日には、すっかり溜まっている
甥っ子の写真をプリントしよう。

それと、今度叔父に会ったら
この写真について訊いてみよう。

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    • okikko
    • 2013年 10月 18日

    クキモト先生 こんばんは。

    小説か映画のプロローグになりそうな、大切な写真とお話し、ありがとうございました。

    デジタル化にたよりきった毎日ですが、そんな時代だからこそ、アナログの暖かさが、懐かしくなります。

    墨の濃淡だけで、美しい作品を残している水墨画の伝統が、今も受けつがれているように、モノクロ・フィルムの作品が、これからもなんとか受け継がれていかないものかと願っています。

    最近、地下鉄の連絡路などで、名作秋田「おばこ」のポスターを見かけるたびに、一息ついています。

    • okikkoさん> コメントありがとうございます。デジタルをもはや否定するつもりは全くありませんが、それでもやはりアナログのあたたかさ、というものは存在しますよね。最近なかなか撮れていませんが、わたしもまたフィルムでゆっくり撮影したいものです。

  1. こんばんは!
    先日実家に帰ったとき、みかん箱位のダンボール箱の中に20年前に亡くなった父のアルバムを見つけました。父が若い頃の写真で、今まで2・3回広げたことはあるのですが、父が亡くなってからは初めて広げてみました。昔の風景の中にいる父を見ながら、でもそこにいる父は僕の知らない父ばかりで、そのアルバムは家族のものではなく父だけのもののような気がしました。そう思ったとき、自分の小さい頃からの写真(アルバム)は、自分の思い出、自己満足だけのもので自分が死んだら何の価値もないように思いました。
    最近、そのように思っていただけに今回の話はとても興味が湧きました。そして、やっぱりデータではなくプリントは大事なんだということも・・・。
    確かに、データは見返さないですね~ ^^;
    長々とすみません m(_ _)m

    • arimotoさん> 写真から受ける印象は人それぞれ。なるほど、そういう受け止め方もありますよね。今日、名作として残っている数々の写真も、当事者にとっては何気ない日常の一コマ、とりたてて特別なものではなかったりするものもあったんじゃないかと思います。他人にとって価値があるのかないのかは、自分ではわからないものかもしれませんね。

    • okikko
    • 2013年 10月 19日

    返信、どうもありがとうございました。

    今日は、さっそく夏に撮った「データー」の一部を、補整ソフトを利用してプリントしてみました。

    愛用のPOST CARD用写真立てに入れて、眺めてると、心地よかった時間が、少しよみがえってきました。

    「写真」にすることは、とても大切な事ですね。

    • okikkoさん> 画像データをプリントしてはじめて写真になる。なるほどー。
      そして写真を飾る、ということはとてもすてきなことですよね。いい写真かな?どうかな?というときに、プリントしてしばらく目に付くところに飾っておくのもひとつの判断材料になりますね☆

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